人工授精はタイミング療法の次に行われる治療法になり、女性にとっても負担が少ない治療法として知られています。そのため人工授精での妊娠を希望される女性も少なくありません。
治療の回数によって、人工授精の成功率が変わっていきますので、本記事で詳しくお話していきます。また、妊娠率を高めるためのポイントも含めて解説していきたいと思います。
人工授精とは?向いている人、向いていない人
人工授精とはどのような治療法なのか、また向いている人や向いていない人についてお話しします。
人工授精は卵子と精子の成功率を高める
人工授精は、女性の排卵期に管を使って精液を直接注入していく方法です。卵子と精子が出会いやすくするための治療としても知られています。自然妊娠やタイミング療法では、妊娠しない場合に行われています。副作用の心配もほとんどありませんし、妊娠時に胎児への影響もないのが特徴です。
人工授精が向いている人(精液所見が良くない、性交障害など)
人工授精が向いている人は以下の通りです。
- 精液所見が良くない
- EDの治療をしている
- 性交渉のタイミングを合わせるのが難しい
- 精子と頚管粘液(けいかんねんえき)の相性が良くない
精液所見が良くないケースや、性交がうまくいかない人に向いています。また女性の場合、子宮頸管や子宮内膜症による不妊症に悩んでいる人にも適応します。
人工授精が向いていない人(精子に問題がない、女性の年齢が高い)
逆に、人工授精が向いていない人は以下の通りです。
- 精子に何も問題がない
- 女性の年齢が高い
男性側の精子の状態がいい場合は、わざわざ人工授精を行う必要はないため、向いているとは言えません。また、精子の状態が著しく悪い場合は人工授精ではなく、体外受精を選択するようになります。女性の年齢が高い場合や、卵管が閉じている場合は人工授精で妊娠するのは難しいといわれています。
人工授精成功率は回数によってどう変わる?
人工授精成功率は行う回数によっても変わってきます。人工授精は一度で妊娠できるものではなく、実際は何度も治療を繰り返し行う必要があるのです。
2回~3回で妊娠できるかどうか決まってくる
人工授精成功率は、1回あたり5%〜10%前後だといわれています。他の治療法と比べても高い確率で妊娠できるわけではありません。当院でも、不妊歴によって変わりますが2回~3回を目安にしています。
人工授精で妊娠しない場合は、別の治療法を考える必要があるでしょう。
女性の年齢によっても人工授精成功率は変わってくる
上記でお伝えした通り人工授精は女性の年齢によっても成功率が変わります。43歳以上になると1%程度にまで下がってしまうため、40歳以降は特別な理由がない限りは人工授精以外の治療を行うことになります。
4周期以内に妊娠しない場合は、若い女性であっても5周期以降の妊娠する成功率は3〜5%程度と低くなります。そのため、4周期以降は次のステップに進むかどうかを決めていく必要がでてきます。
必ずしも女性の排卵日に性交渉をする必要はない
人工授精では、必ずしも女性の排卵日に性交渉をする必要はありません。タイミングによってはスケジュールの調整が難しいケースもあると思います。排卵日が人工授精の翌日になったとしても、妊娠の効果は期待できます。タイミング療法では、排卵の1日前に性交渉を行う必要がありますが、人工授精は排卵後24時間以内が望ましいとされています。
人工授精によるメリットは
つづいて、人工授精のメリットを紹介します。
- 身体への負担が少なく痛みを感じにくい
- 自然に近い方法で妊娠できる
身体への負担が少なく痛みを感じにくい
人工授精は、身体への負担が少なく痛みを感じにくい特徴があります。1回あたりの治療にかかる時間は10分〜15分程度と短いものなので、何度も病院に足を運ぶ治療ではあるものの、続けやすいとされています。ただし人工授精治療のあとは、体調を確認するため安静にする時間が必要です。
自然に近い方法で妊娠できる
自然妊娠に近い形で受精ができますし、繰り返しの治療がしやすいのもメリットです。精子を子宮のなかに届けたあと、受精し着床するプロセスは自然妊娠と変わりません。そのため、できるだけ自然な形で妊娠したいと考えている女性にとってもメリットになると思います。
人工授精によるデメリットは
つづいて、人工授精のデメリットを紹介します。
- 体外受精よりも成功率はかなり低いといわれている
- 保険適用になったが、43歳未満の女性が対象
体外受精よりも成功率は低いといわれている
人工授精は、体外受精と比較すると成功率が低いデメリットもあります。そのため、すぐに妊娠したいと考えている女性にとっては、すぐに結果につながらないことをストレスに感じてしまうかもしれません。
人工授精の妊娠率を高めるポイント
人工授精の妊娠率を高めるには、まずは男性の精子の質を高めることが必要です。精液の状態が極端に悪い場合は治療の適用外になってしまいます。男性不妊の場合はその疾患を見極め治療を行うことで、質を高められる場合があります。
まとめ
人工授精成功率は、そこまで高いものではありません。妊娠しない場合、今後の治療をどうするのかを決める必要もでてきます。体外受精や顕微授精なども検討しつつ、あなたにあった不妊治療を見つけていきましょう。人工授精についてお悩みの方はうすだレディースクリニックにご相談くださいね。
監修:院長 医学博士 臼田 三郎